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2013/09/27

カタログで登場した街の木彫たち。あのユニークな作品たちは一体?

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注目の彫刻家、鈴木基真さんに迫る。
「URBAN RESEARCH Autumn/Winter 2013」のカタログを手にした方はご覧になっていると思いますが、メンズモデルたちと一緒に写真に収められた街や木々などの木彫たち。大胆でありながら細やか、ポップながらも何とも言えない奥深さがある作品たちは、独自のスタイルで注目を集める彫刻家、鈴木基真さんが創造したもの。「URBAN RESEARCH」の“街を考察する”というコンセプトと共通の部分を感じ、今季のカタログでお願いしました。今回は、鈴木さんの作品をもっと知りたいという想いで行ったスペシャル・インタビューです。
–街や自然を木彫で表現するようになったきっかけは何でしょうか?
鈴木さん(以下S)「もともとは風景画、風景写真に興味がありましたが、彫刻なら平面的なイメージを形として実体化でき、配置方法によって観る人が動けば作品も動くという面白さに気づきました。また、複数の作品同士がレイヤー構造を生んで、個別に持ったイメージを再構築しながら、“新たな物語を形成しだす”という点に興味深く感じたのがきっかけです。個々が集まって別の意味を持ち始めるのは何か森羅万象の理な気がしています」

–それはいつ頃気づいたものでしょうか? S「大学生の頃です。その時はここまでコンセプトが明確ではありませんでした」

–作品のインスピレーション源は、風景や映画のワンシーンだとお聞きしていますが、実際にどのような形でテーマを決めているのでしょうか?
S「実際に現代の人間として生活する中で、世の中の動きや思考にアンテナを張っています。風景や映画もその要素です。その中で、今必要なテーマをモチーフとして比喩的に、または間接的に選んでいます。ピンとこない場合は想像上の形を求めます。これらは、“今”を自分の中に引き寄せて、造形として、時にはアーティストの活動として、過去や未来に思いを繋げようとしている考えからの行動だと思っています」

–作品の発想源のひとつである映画、鈴木さん流の映画の見方はありますか?
S「古いものから始まって、今では流行の洋画を観続けています。体系化すると、その時代の背景や人々が必要としていたものが分かるので面白いです。次はどんな映画が流行るのか考えながら観るのも楽しいです。また、作品の形の研究の為にアニメーションもよく観ます。立体にする際に曲線や手癖を理解するのに役に立ちます」

–音楽はいかがですか?
S「音楽はもうなんでもありですが、やはり時代背景や繋がりを意識しているように思います」

–鈴木さんの作品は、ポップさとわかりやすいサプライズ感、何とも言えない深みのある空気感が魅力だと思いました。制作にあたってそこは意識されますか?
S「造形芸術はどんな作品であれ、視覚から捉えるところは大きいと思います。ですから人を選ばず多くの人の目を引くというのはポップさの武器かと思います。ですが、ポップさに回収されず、さらに作品に踏み込めるかどうかは最終的に観る人の思考の判断、選択にかかっていると思います。ポップさを突き抜けた先の作品の意味は常に考え、用意しているつもりです。ただ、もちろんどんな考えで作品を観てもらっても構わないという気持ちです」

–今回、「URBAN RESEARCH」のカタログでご協力をお願いするにあたり“街をつくる、考察する”という点において共通する部分があると思いました。
S「作品の1つ1つは最終的な街の理想像を描いて制作している訳ではないので、意識した事はないですが、自分の作品展示と同じように偶然隣り合ったものどうしが関係性を築きながら全体像を成しているのが自然でいいかなとは思います。ただ自分の作品と違い、現実の街づくりは違い再構成が容易ではなく計画性が求められると思いますが……」

–最後に、鈴木さんが思う充実したライフスタイルとはどのようなものでしょうか?
S「難しいですが……自分の生き方を自ら判断、決定しながら生活する事ではないでしょうか」
カタログ撮影現場での風景
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  • カタログのメンズ撮影でのひとこま。スタジオに到着した作品たちを見てメンズモデルたちも「Cool!」とテンション上昇。特に小さく細かい箇所には、どうやって作るのか興味津々。個性的な作品たちは配置や組み合わせによって、違った表情をみせるので、ベストの構成をスタッフ全員で意見を出し合いながら、進行しました。出来上がりは、カタログやショップ内ポスターでも見ることができます。

akuro Someya Contemporary Art, Tokyo ギャラリー展示風景
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(▲上段) 2010年に行われた個展「World is yours」での展示。
(c) Motomasa Suzuki, Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
Photo by Keizo Kioku
(▼下段) 2012年に行われた個展「Eyes/The form/An image」での展示。
(c) Motomasa Suzuki, Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art
Photo: Ken Kato

<Profile>

鈴木基真 Motomasa Suzuki

1981年生まれ、東京在住の彫刻家。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 卒業。風景や映画のワンシーンなどの木彫を手作業によって制作。伝統的な木彫というジャンルにおいて、独自のスタイルで唯一無二の世界観を作り上げている。10月5日から開催される瀬戸内国際美術祭2013に出展。

<Award>

2010年:第11回群馬青年ビエンナーレ2010優秀賞
2007年:第11回岡本太郎現代美術賞入選
2006年:ジーンズファクトリーアートアワード2006準グランプリ
2003年:ARTISTS BY ARTISTS入選 他

瀬戸内国際芸術祭2013
直島や小豆島など瀬戸内に浮かぶ島々で、現代アートの作家や建築家と、そこに暮らす人々の協働により、3年に1度開催されるアート祭。瀬戸内海の美しい自然と芸術を楽しめることでグローバルで注目されているが、小豆島で行われる江戸末期創業の老舗醤油会社の倉庫を活用した「醤油倉庫レジデンスプロジェクト」に鈴木基真さんが参加。「新旧合わせた木彫群を再構成したインスタレーション展示と写真作品と立体に関連性を持たせた2空間で構成されます」と鈴木さん。
綺麗な海と自然に囲まれた島、静かな心でアートと四季を体感できるのも魅力。「小豆島は大自然の景観や民俗も含め日本の原風景のようなものも愉しめるかと思います。その中でアーティストがどのような作品を発表し、活動しているのかを秋の空気の中で心を落ち着けて鑑賞して頂けたら幸いです」

瀬戸内国際芸術祭2013

【アーティスト】鈴木基真

【出展】醤油倉庫レジデンスプロジェクト

江戸末期創業の老舗醤油会社の倉庫を活用したプロジェクト。

【期間】10月5日(土)ー11月4日(月・休) 31日間

【展示時間】9:30-17:00

【料金】300円

【パスポート提示料金】無料

http://setouchi-artfest.jp

edit & text:Takafumi Matsushita
courtesy of Takuro Someya Contemporary Art

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